ホーム > 山田錦研究会 > 今年も山田錦づくり始まる。苗の調査・検討会を実施。
苗をチェックする鈴木会長
苗を計測する役員
話しを聞いて田植え日を決める
講評を聞く会員
話しをする乗松相談役
今年も静岡山田錦研究会の会員による山田錦づくりが開始されました。そして、全体活動である「苗の調査・検討会」が5月24日行われました。これは、会員が育てた苗を1箱ずつ持ち寄り、その成長具合を調査確認し、最適な田植え日を決めるものです。従来、会場は花の舞酒造でしたが、今年は都合により花の舞からほど近い、JAとぴあ浜松麁玉支店倉庫にて行われました。
この「苗の調査・検討会」は毎年5月下旬に行われます。一年のうちで最もさわやかな気候の頃ですが、それでも毎年状況は異なり、一昨年は5月27日に早々と梅雨入り、去年は小雨が降るぐずついた天候、そして、今年は、日中汗ばむほどの陽気となりました。
定刻の午後4時が近づくと、会員やJA職員が続々と苗箱を運びこみ、シーンとしていた倉庫は一気に賑やかになりました。会員のみなさんが顔を合わせるのは3月の総会以来です。米の品種はいろいろありますが、山田錦は他の品種よりも栽培時期が遅い晩生(おく)。会員の皆さんはすでにこしひかり等早生(わせ)系の苗の田植えを終えているため、日焼けしている顔も多く見受けられました。
全員が揃ったところで、事務局の花の舞斎藤主任の司会進行で会が始まり、まず、鈴木良紀会長が、「もみをまいた時期がそれぞれ多少異なるので、いろんな苗があるようですが、じっくり観察したいと思います」と挨拶。
続いて、花の舞の土田杜氏が挨拶し、お酒の販売状況を説明。山田錦を使った吟醸酒の販売が好調であることも紹介されました。その後、青木副杜氏がこの春行われた静岡県の清酒鑑評会と全国新酒鑑評会の結果を報告。「今年もいいお米を期待しています。私たちも最大限の努力をしてがんばります」と語りました。
その後、苗の調査が開始されました。会員が持ち込んだ苗箱をテーブルに一つずつ乗せ、その苗を育てた会員に話しを聞きながら、研究会の役員が、土資材名・播種日・播種量の確認、草丈・2葉までの長さの計測、葉齢・根張りの確認を行います。そして、それらを勘案して最適な田植え日が決められていきます。
播種日(もみをまいた日)が会員によって多少異なるため、草丈(苗の長さ)にはばらつきが見られました。役員は会員からいろいろ話しを聞きながら、苗の育て方や田植えの時期をアドバイス。会員も真剣に聞き、さまざまな相談をする姿が見られました。記録は事務局の斎藤主任が担当。花の舞の蔵人も苗の撮影を担当し、活動に協力しました。
すべての苗の調査はちょうど1時間ほどで終了。また、全員が会長を中心に丸くなって集まります。そして、苗を調査した鈴木会長が講評をしました。「土の成分によって葉の色の違いがありました。また、温度のかけ方等によって苗の伸びに違いが出ていたので、温度管理をもう少し考えながらやってもらえればと思います」と語り、温度管理の重要性を指摘しました。
例年、この場でもっとも優れた苗を会長賞ということで選出していましたが、今回は会員のもみまきの時期が異なったことで苗の成長にバラツキがあり、審査をするのは困難ということで会長賞は選出せず、「こういう苗がいい、という観点で選びました」と、鈴木会長は乗松弘泰さんの苗を推奨しました。
その後で相談役の乗松精二さんが話しをしました。まず、平年に比べ、かなり気温が低かったり、高かったりした過去半年の気温の状況を顧み、「6月からの天候、気温がどうなるか分からないが、他の米と同様に十分気を使ってほしい」と述べました。また、「今年はデータで見る限り不作の可能性があるが、きめ細やかな管理さえすれば、平年並みは確保できる、そのあたりを注意して稲作に取り組んでほしい」と、会員に注意と促すとともにがんばりを期待しました。
苗の調査・検討会が終了した後、鈴木会長に講評で語った温度管理の仕方について聞くと、「もみまきの後の育て方は会員によって様々です。気温が高いと苗の先がパーマをかけたようにチリチリになったり、丈がどんどん伸びたりするので、苗にシートをかぶせている場合は早めに取る、ビニールハウスに入れている場合には早めに外へ出すなどして、温度を見極めて手を打たなくてはなりません」と語りました。
田植えについては、「一部に、すぐに植えてもいいものがありましたが、まだ田に水が来ていないところもあったので、そういうところは少し先に延ばしました。田植えは全体的に早めになっていますが、自分の他の田んぼとの兼ね合いがあるので、その中で調整しながらやっているのだと思います」と言います。
鈴木会長自身の田植えについては、例年より2、3日早い6月5日頃を予定していると言います。ちなみに、今年も花の舞のお客様で田植えの体験希望があるということですが、「もちろん協力します」と語っていました。
すべてが終了した後は全員近くの飲食店に移動し食事会が行われました。運転しない人には花の舞のお酒が提供され、久しぶりに顔を合わせた仲間同士で楽しく歓談する光景が見受けられました。