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活動レポート

静岡山田錦研究会レポート

収穫した山田錦の「成分検査」を行う。全員がタンパク質含有率をクリア。

成分検査会場

米の大きさを計る

数値を確認する乗松相談役(左)

米の成分を分析する(中央後方土田杜氏)

米の審査をする鈴木会長

審査する青木副杜氏(右)と斎藤主任

前日1日中降り続いた雨もあがり、晩秋の青空が広がった11月27日、「静岡山田錦研究会」の収穫した米の成分検査が研究会の乗松精二相談役が営む磐田市のサンシャイン農場事務所で行われました。この日はほとんどの会員とJA職員、そして、花の舞酒造から土田杜氏、青木副杜氏、事務局の斎藤主任が参加しました

成分検査を行う前に、今年全員が集まるのはこれが最後となるため、鈴木良紀会長、乗松相談役、そして、花の舞の土田杜氏がこの一年の活動を振り返り、挨拶をしました。その後、会場では二つのグループに分かれて作業を行いました。

一粒2.0mm未満の米は少量

一つのグループは米の大きさ(厚さ)を計測します。収穫した米はその一粒の大きさ(厚さ)が2.0mm未満だとくず米になってしまい、出荷することができません。研究会では1粒の大きさ(厚さ)が2.0mm未満の米を減らすために毎年この測定を行っているのです。

作業としては、まず、会員から提供してもらったもみすり後の玄米をそれぞれ一定重量きちんと計ります。それを、洗面器のような形状の網目2.0mmの選別器に入れて両手でゆさゆさゆすります。そうすると、2.0mmより小さな玄米は下に落ちますから、その重量を計測します。次に、その落ちた玄米を今度は網目1.95mmの選別器に入れて同じことをします。そして、下に落ちた1.95mmより小さい玄米の重量を計ります。こうして、全員の米を計測し、一定重量に対するそれぞれの比率を計算するのです。

途中、計算して記入された数値を乗松相談役が見て、「比率が小さい。みなさんすばらしいね」と記録係に語りかけていました。どうやら、2.0mmより小さい米はかなり少なかったようです。この、米の大きさ(厚さ)に関する全員のデータは平成25年の勉強会に資料として会員に配布される予定です。

今年も全員がタンパク質含有率をクリア

もう一つのグループは米の成分検査を行いました。成分検査は以前より成分分析機を使用して行われています。2.0mm以上で検査済みの米を一定量機械にセットすることで、スピーディーに米に含まれるタンパク質、水分、アミロース、脂肪酸などの量を計ることができます。中でも、最も重要視されるのが米に含まれるタンパク質の量です。タンパク質が多いと酒にしたときに雑味が出てしまうからです。研究会では発足当初からタンパク質含有率7.0%以下をめざしてやっており、ここ数年はほぼその数値をクリアしています。

成分分析機のまわりを会員が取り囲み、機械から数値が印字された用紙が出てくるとみなさんのぞき込むようにしてそれを見ていました。全員の米の分析を行った結果、今年もみごとに全員が決められた数値をクリア。さすがの実力を見せつけたのでした。

甲乙つけ難い優秀米の審査

成分検査が終了した後で平成24年度の優秀な米を選出するための審査が行われました。審査は、一人ひとりの玄米をプラスチック製の白い皿と黒い皿の両方にちょうどいっぱいに広がるように入れ、生産者の名前が分からないように、皿には番号だけを付け、テーブルの上にずらりと並べます。そして、それを、研究会の鈴木良紀会長、花の舞の土田杜氏、青木副杜氏、JAの検査員がじっくり一皿ずつ吟味して行われました。

その結果、静岡山田錦研究会会長賞には袴田久雄さん、花の舞社長賞は高柳邦彦さん、花の舞賞は鈴木明さん、そして、JAとぴあ浜松農産物検査委員賞は松島達郎さん、JA遠州中央農産物検査委員賞には乗松精二さんの米が選ばれました。

審査をした花の舞の土田杜氏は「ひじょうに揃っている米です。私は品質的には日本一の山田錦だと思っています。ここまでみなさんの努力とやる気できたのだなと思います。審査では最終的に一つ選びましたが、どれも甲乙つけがたく、大いに迷いました。それほどみなさんのレベルが上がっているということです」と感想を述べました。

また、審査では最後まで残って候補の米を見比べていた青木副杜氏は、「JAの職員にも聞きながら選びました。私が選んだ米と他の人が選んだ米には共通した特徴があるということが分かりました。これから、こういう機会を活かして会員のみなさんやJAの方々に教えてもらいながら、米を見る確かな目を養っていきたいと思います」と語りました。

選ばれた米の生産者は3月に開催される静岡山田錦研究会の総会において表彰されます。

まだまだ上をめざす研究会

最後に鈴木会長に今年の山田錦づくりを振り返ってもらうと、「今年は刈り取り前に台風が来たので、たんぱく質含有率が心配でしたが、全員クリアできてよかったと思います。しかし、粒数が思ったほど多くなかったので、反収はそれほど伸びないかもしれません。米自体はみんなそれなりに張りがあっていいものになっています。審査も迷うほどでした」と言います。その他、「今年は海側と山側で害虫が発生してその影響があったようです。中央の地域は少なかったようですね」と、こんな不思議な話しも聞きました。

来年に向けての話しを聞いてみると、「これからは、個々の農家が特に意識しなくても、さらっと、何気なしに、必要なことを、最適な時期にやっている、そんな感じになればいいなと思います」と言います。これは、高度の技術と知識、経験がなくてはできないこと。つまり、山田錦づくりの最高レベルまで到達しよう、と鈴木会長は言っているのではないでしょうか。ついに静岡山田錦研究会もそこまで来たということなのでしょう。とどまることをしない研究会の今後が楽しみです。

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