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活動レポート

静岡山田錦研究会レポート

炎天下、この夏2回目の圃場巡回を実施。会長、相談役とも水管理の重要性を説く。

巡回する会員一行

今年8月上旬の稲の姿

CM値を計測する

記録を取る事務局斎藤

幼穂の長さを測る鈴木会長

会員と話す乗松相談役

静岡山田錦研究会の定例活動である今年2回目の圃場巡回が8月3日に行われました。8月に行われるこの巡回は7月に行われた第1回目の巡回と同様、会員の圃場(田んぼ)を回り、稲の発育状態を調査するものです。前回の巡回からは約1か月が経過しています。その間に梅雨が明け、天候も大きく変わっています。その後の山田錦の生育状態はどうなのか、同行取材しました。

出穂時期の予想と穂肥の判断をする

8月の巡回は巡回終了後に研究会の懇親会があるため、7月に比べ30分早いスタートとなります。浜松地方は梅雨明け以降暑い日が続いていましたが、この日も朝から猛暑となりました。

今回も車を連ね、研究会の鈴木良紀会長をはじめ会員、JA関係者、そして、花の舞から事務局の斎藤主任、青木副杜氏、蔵人の鈴木らが参加し、湖西市から浜松市、磐田市、森町、袋井市まで各地区の代表圃場を巡回しました。

会員の中には自分の圃場あるいは自分の地区の圃場で本隊を待ち受け合流する人もいます。合流のポイントである都田地区の鈴木会長の圃場にも数人の会員が早めに来て、本隊の到着を待っていました。

この時期の巡回の目的は出穂(穂が出る)時期の予想と穂肥(穂のための肥料)をいつ、どのくらい入れるのかの判断をするためです。測定したのは1株茎数、草丈、葉色、CM値、幼穂長等です。静岡県西部地区をぐるりと回らなくてはならないため、圃場の視察にはたくさん時間はかけられません。測定する係りなど役割を事前に決め、圃場につくと手際よく作業が進められていきました。午前中の巡回が終了したところで鈴木会長に話しを聞きました。

猛暑の影響で発育は遅れ気味

7月の巡回では稲は全般的に小ぶりだったのですが、今回はどうだったのでしょう。「全体に草丈(稲の長さ)は短いです。肥料を抑えて入れている人の稲はもっと小さかったですね。暑い日が続いていることもあって、全体に発育は遅れ気味でした。それでも茎は丈夫でがっちりしています」。その茎に関する「分けつ」についても聞きました。分けつとは田植え時の苗が何本に増えているかということです。7月中旬には水を完全に抜く「中干し」をして分けつを止め、稲に次のステップへ行くよう促すのです。「分けつは順調でした。全部数えれば27、8本ありますが、その中で穂が出そうなものだけを記録しています。それが今20本くらいあるので問題ないですね」。稲の葉の色はどうなのでしょうか。「きれいに色が抜けている圃場もありました。7月のときは色が濃かったので、どうかと思いましたが想像より色は抜けていましたね。だいたい、あと1週間くらいでみんな抜けていくのではないでしょうか」と鈴木会長は語りました。

幼穂小さく、9月上旬に出穂か

8月の巡回で重要なのは幼穂(ようすい)のチェックです。幼穂とはその名の通り、やがてりっぱな穂になる若い穂のこと。今はまだ地面から10?15cmほどの茎の中にあり、外側からは見ることができません。そこで、茎を縦に裂いてその断面で幼穂の長さを計ります。「去年は1ミリ、2ミリのものが多かったのですが、今年はもっと小さくて1ミリに満たないものが多かったです。暑さで遅れているのではないかと思いますが、順調に育っていけば問題はないです」と鈴木会長は言います。

それでは今年はいつ頃穂が出るのでしょう。「例年8月下旬頃が多いのですが、今年は9月頭に穂が出始めればいいかなと思います」。穂を育てるための穂肥(ほごえ)については「入れてほしい圃場が数か所ありました。お盆前くらいに見計らって入れるよう指導しました」と言います。春に1回だけ入れた、いわゆる一発肥料(1回で通年効果がある肥料)の人については、「入れる必要のない人もいましたが、最初から抑えた人は入れてもらう必要があります。そのへんは会員の采配でやってほしいですね」と鈴木会長。これから重要なことは水管理だと言います。「水を溜めて温めてはだめ。毎日暑いので冷たい水を入れてやる。間断灌水(水を入れたり抜いたり)することです。水管理さえきちんとやればある程度はいけるのではないでしょうか」と、水管理の重要性を説きました。

天候の激変に稲が戸惑う

昼食後の最初の巡回圃場は研究会相談役の乗松精二さんの圃場です。筆者は例によって撮影準備のため本隊より少し早く昼食会場を出発し、圃場で乗松さんと本隊を待ちました。

やがて、本隊が到着し、計測等を行ったところで乗松さんが到着しました。さっそく、会員と稲の発育状態に関する話しが始まりました。乗松さんの意見を聞くと、「稲が戸惑っていると思う。自分がどうしていいのか分からず、悩んでいる」と言います。

その意味は、6月、7月前半は低温と日照不足だったが、梅雨明け以降は快晴高温が続き、完全に日照量がオーバーしている状態で、あまりにも天候が激変したために、稲がびっくりして戸惑っているということなのです。「この段階で水を張ったら一発でアウト。一気に根ぐされを起こす」と忠告します。

そうならないために、今やらなくてはならないのは、「乾燥した根っこが空気中の酸素を摂る根っこになっているから、水中の酸素を摂る根っこに代えてやること。その後で水を溜めないといけない」ということなのです。具体的な作業としては、「水をドカンと入れてサッと抜く。これを今の時期に3回くらいやる。これから、水が来るんだということを稲に分からせ、それから水を浅く張る」ということになります。

成長の節目の稲をしっかり管理する

乗松さんは言います。「これから穂ができ始めるから、稲は穂をつくることに重点を置くように体質を変えなくてはいけないので、稲は今が一番弱い時なんです」。そして、乗松さんは自分の圃場を指さし、「今、少し黄色くなってきている。これ以上弱って黄色くなったら僕が下手くそだったということ。稲が怒ったということです。ここで止まって、稲が活き活きしてきたら稲がありがとうと言っていること。この高温と日照りで稲はストレスを持っている。うまく操作してやらなくてはいけません」と言うのでした。

話しを聞き、山田錦は8月上旬が成長過程の節目だということが分かりました。水管理については鈴木会長も指摘していましたが、やはり、この時期、最も重要なことなのです。

最後に乗松さんは、ぐるっと取り囲んで話しを聞く会員に対し、「ここを乗り切れば大丈夫。水など管理をしっかりやれば豊作が期待できる」と激励しました。

今年も巡回が終わった後に研究会恒例の親睦会が浜名湖畔のホテルで開催されました。炎天下の巡回の後の宴会。自分たちが栽培した山田錦でつくった花の舞のお酒はさぞおいしかったことでしょう。

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