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活動レポート

静岡山田錦研究会レポート

梅雨空の下、圃場巡回を実施。稲は小ぶりだが、じっくり成長。

圃場を巡回する会員

鈴木会長(中央)と花の舞スタッフ

やや小ぶりな今年の稲

葉色を測定する

稲の生育を調べる

意見を述べる乗松相談役(左)

静岡山田錦研究会の定例活動である今年1回目の圃場巡回が7月6日に行われました。この圃場巡回は会員の圃場(田んぼ)を回り、稲の生育状態を視察するもので、会員の圃場が遠州地方(静岡県西部地区)に広く分布しているため、例年各地区の代表圃場を巡回しています。田植えをしてから約1カ月が経過しましたが、稲の生育はどうなっているのでしょう。

いつもの蒸し暑さがない巡回

巡回は朝、湖西地区から始まりました。参加したのは研究会の鈴木良紀会長、会員をはじめ、花の舞酒造から事務局の斎藤主任、土田杜氏、青木副杜氏、そして、JA職員。この人たちが本隊で、この日のすべての圃場を巡回します。会員の中には自分の圃場、あるいは、その地区の圃場のみ参加する人もいました。また、本隊を待ち受け、途中から合流する会員もいます。

その合流地点の一つ、浜松市都田地区にある鈴木会長の山田錦の圃場では午前10時頃からおよそ10名の会員やJA職員が本隊を待ちうけていました。天気は曇天。気温はそこそこ高かったのですが、涼しい風が吹いていたため、さほど暑さを感じることはありません。去年は6月下旬から猛暑が続き、巡回の日も朝から蒸し暑かったことを思うと、やはり今年は涼しいのかなと思います。

10時半頃、湖西方面の巡回を終えた本隊が車列を組んで到着。「やあ、やあ、ごくろうさま」と皆であいさつをかわし、さっそく計測が行われました。

分けつは例年並み、稲はゆっくり成長

7月の巡回で行うのは1株の茎の数の確認。田植え時の苗が何本に分けつして(増えて)いるかを数えます。そして、草丈と稲の葉の色の測定をします。その前提となる情報として、田植え日、植えつけ深さ、1株植え本数をまず確認しておきます。そして、巡回、計測して分けつの状況はいいのか悪いのか、追加の肥料を入れる必要があるのかないのか、田んぼの水を抜く中干しはいつから始めるのか等の判断を下すのです。

今年の分けつについて鈴木会長に聞くと、「去年は高温だったため分けつは多かったですが、今年は例年並みです。それでも20本から25本いっているので問題ありません」。草丈については「いつもより5cmほど短いですね。例年だと40cmを超えるものもありますが、今年はそれがありません。ただ、いま、稲たちは肥料を吸う支度をしていますから、これからの天候によっては一気に伸びるかもしれませんよ」と言います。

気になるのはこの日までの今年の涼しさです。稲が小ぶりなのもそうせいなのでしょうか。「夜は冷えますね。例年に比べ3、4度低いのではないでしょうか。小ぶりなのはその影響もあるかもしれません。しかし、小ぶりであることの心配はいりません。むしろ、土台がしっかりしていて、倒伏に強く、実がゆっくり動いています。こういうときは豊作が期待できるのです。稲はゆっくり、ゆっくり成長しているから大丈夫です」。

今年の中干しはやや遅く開始

稲の葉の色はどうだったのでしょうか。「肥料がゆっくり効いているので、葉の色はまだ抜けない。濃いです。去年も濃かったですが、色が抜ける寸前だった。今年はもうちょっと色が来て(濃くなって)、それから抜けると思います」と鈴木会長。

葉の色については上から2枚目、開いている葉の色を葉色板を使って確認します。葉色板は黄緑色から深い緑色まで、7段階に分けて色が付けられている板で、それを葉に近づけ、葉の緑色がどのくらいの濃さであるかを数値で表します。その他に、クロロフィルメーターという葉に含まれる葉緑素の濃度を測定する機器も使って測定します。その数値はCM値と呼ばれるものです。

最近は会員の中でも春に1回だけ肥料を入れる、いわゆる一発施肥をする人が増えています。その年の天候によっては追加の肥料を考えなくていけませんが、今年については、「追加で入れる可能性は低いでしょう。たぶん、このまま行けば、フルに肥料を吸い上げて終わるのではないでしょうか。今年はじわじわ成長しているから、むしろ、良い肥料の効き方をしていくのではないかと思います」と鈴木会長は推測します。

さて、それでは中干し(田んぼの水を抜いて干し、分けつを止めること)はいつ頃から行うのでしょうか。通常は田植え後35日から40日ということですが。「いま、ちょうど30日から35日経過していますが、あと、1週間から10日後から開始ということになるでしょう」ということで、今年の中干しは7月中旬から行われることになりそうです。

中干しの前にガス抜きを

昼食時に合流する会員がいたのでまた巡回の人数が増えました。午後の部最初の巡回は研究会相談役の乗松精二さんの圃場です。筆者は本隊より少し早く昼食会場を出発。乗松さんの圃場で稲の写真を撮っていると、乗松さんがトラックでやってきました。聞けば、直前まで田植えをしていたとのこと。ちょうどこの日ですべての田植えが終了したそうです。たしか、去年もそうでした。長い田植え期間お疲れ様です。

見れば、乗松さんの圃場の稲も小ぶりです。乗松さんは「小ぶりであることは何も問題ではありません。成長が進みすぎて停滞してしまうのが良くない。稲がどうしたらいいのか分からなくなってしまう。稲が『もう少しがんばろう』というくらいに進んでいくのが一番いい。ゆっくりでも順調にいくのがいいのです」と解説してくれました。しばらく乗松さんと話をしていると、本隊がやって来て、また圃場はにぎやかになりました。

ここまでの感想を土田杜氏に聞くと、「全体的に少し遅れ気味で、小ぶりでしたが、心配はないと思います。上品にこじんまり仕上がり、育っていると感じました」と答えてくれました。

鈴木会長にこれからやるべきことを聞くと、「中干し前に圃場のガス抜きをする必要があります」と言います。いま、圃場の土にはガスが入っているため、根が止まってしまっている。そうなると、上の成長も止まってしまう恐れがあるからです。そこで、圃場の水を1回抜いて、土の表面が出るくらいにしておき、また、水を入れて新しい酸素を入れ、稲に酸素を供給して根っこを動かしてやるのです。そして、2、3日後に水を落とし、中干しをする、ということになります。

この後一行は、磐田、森町、袋井地区を夕方まで精力的に巡回しました。朝は曇り、昼前には晴れ、午後は一時小雨、また、晴れたかと思ったら、3時過ぎには雨が降り出し、雷も鳴るという、まさしく梅雨らしい不安定な天気の下での、本年第1回目の圃場巡回でした。

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