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活動レポート

静岡山田錦研究会レポート

花の舞がすべての圃場を巡回評価。台風の影響ほとんどなし。

圃場を巡回する会員

圃場を評価する土田杜氏

稲を一株ずつ提供してもらう

止葉の色の測定を行う

もみをチェックする鈴木会長

圃場を評価する青木製造部長補佐(右)

稲を観察する会員

静岡山田錦研究会の今年最後の巡回活動である圃場評価が9月27日、28日の2日間にわたり行われました。これは、会員の刈り取り前のすべての圃場(田んぼ)を花の舞が視察し、A・B・Cの3ランクで評価をするものです。研究会が評価をするのではなく、花の舞の酒づくりの責任者が圃場を評価することについては、「生産者として杜氏がほんとうに酒をつくりたいと思うような山田錦をつくらなくてはいけない」との研究会の考えから、平成13年より毎年この時期に実施されており、今年で11回目となります。

この圃場評価が行われる6日前の21日に台風15号が浜松に上陸しました。そして、場所によって大きな被害を被ったところもありました。もちろん、米づくり農家にとっても台風は脅威。今回参加した人はみな台風の影響を心配しながらの巡回となりました。

土田杜氏と青木製造部長補佐で圃場を評価

圃場評価は当初から花の舞の土田杜氏が務めてきましたが、去年は土田杜氏の都合がつかず、蔵の青木製造部長補佐、事務局を担当する斎藤副杜氏の二人で行いました。そして、今年は土田杜氏と青木製造部長補佐の二人で行うことになりました。これについて土田杜氏は、「来年からは青木君に引き継ぐ方向で考えています。私もできるだけやるつもりですが、だんだん若手に引き継いでいこうと思います」と言います。

巡回には花の舞の蔵から事務局の斎藤副杜氏と蔵人鈴木裕司さんも参加しました。今回の圃場評価の方法について土田杜氏は、「青木君と二人で話しをしながら決めました。蔵の斎藤君も鈴木裕司君も側でそういう話しを聞いているので、自分の中の情報としてインプットしてくれたのではないでしょうか。彼らが農家のみなさんと交流しながら信用を得ていくことも大切だと思います」と語ります。

集合場所変更も混乱なし

今年は去年と異なり、1日目にJAとぴあ浜松管内の湖西・浜松・浜北地区、2日目にJA遠州中央管内の磐田・森・袋井地区を巡回しました。第1日目の巡回は朝、湖西地区から始まりましたが、巡回する範囲が広いため、浜松地区の会員の集合場所は研究会の鈴木会長の圃場となっていました。ところが、巡回が予定より早く進んだため、急遽、集合場所が浜松医科大学近くのコンビニに変更されました。それでも、時間までに会員、JA職員など参加予定者全員が無事集合、車列を連ねて出発しました。

天気は晴れ。前日からかなり涼しく秋らしくなりましたが、この日は、やや暑さがぶり返し、車内ではエアコンが必要となりました。巡回に同行できない会員は自分の圃場で一行を待ち受けます。前回の圃場巡回は8月5日でしたから、久しぶりに顔を合わせ、つかの間の米づくり談義を楽しんでいる会員も見受けられました。圃場評価の巡回は精力的に昼過ぎまで行われました。

代表圃場では稲の成長も調査

研究会では以前から19箇所の代表圃場を決め、毎年7月、8月の巡回、そして、この9月の圃場評価の際にも稲の成長を調査しています。今回もその代表圃場でタンパク質含有量の目安となり、刈り取りのタイミングをはかるために必要な止葉(とめは)と呼ばれる茎の一番上の葉の色の測定、そして、活葉枚数(緑の生きている葉の数)の確認が行われました。

また、例年この巡回では会員すべてから稲を一株ずつ提供してもらっています。これはその後、一株ずつ、稈長(茎の長さ)、穂長、全長、枝梗数(米を付けた細い枝)、一穂粒数、止葉長、千粒重などなど、稲のすべてを計測、計量、分析し、会員全員分の「稲体の形態調査表」をつくるためのものです。

評価の基準がしっかりしていることが大事

1日目の巡回終了後、土田杜氏に感想を聞いてみると、「屋根が飛んだり、大木が倒れたり、台風15号の影響があちこちに出ていたので心配していました。山田錦は寝たところはありましたが、地面までついていなかったので安心しました。中には、ほんとうに台風が来たのかと思うくらいきれいな姿をした稲があり、感動しました。あとはもう天気次第ですが、いい米が収穫できるのではないでしょうか」と語り、全体的に出来が良いことが確認できたようです。

土田杜氏とともに圃場を評価した花の舞の青木製造部長補佐には評価についての感想を聞いてみました。「一つの田んぼの中でいい部分とそうでない部分があるときには迷います。見るところによって違いがあるところは1周ぐるっと回ってしっかりと見ました。いずれにしても評価の基準がしっかりしていることが大事だということを痛感しました。来年、私にやれということになれば、去年いっしょに評価した斎藤君にも入ってもらい二人でやろうと考えています」と、青木さんは言います。きっと、この2年間の圃場評価の実績が活かされることでしょう。

台風に負けない稲をつくった

今年の山田錦の出来はどうだったのか、研究会の鈴木会長に聞いてみると、「台風で若干倒れていましたが、それは、頭がしなっているだけでベタッとしていない。軸はしっかりしていました。今年は最終段階で稲の丈が一気に伸びたので余計に心配でしたが安心しました。今年は全体に予想以上に出来が良かった。みなさんしっかりやってくれているなと思いました」と言います。

稲の様子を聞くと、「みんな色がきれいに抜けていました。今年は肥料をいつ効くかわからないのでなるべく抑えるように指導しましたが、入れずにちょうど良かったようです。穂肥(ほごえ)を入れた人もいましたが、稲の色はきれいに抜けていました。春に一発肥料でやった人たちの稲もきれいに抜けていましたね」。害虫も心配されましたが、今年は少なかったようです。また、稲の止葉や活葉枚数については、「止葉は鮮やかな色が多かった。サーッと色が抜けていました。活葉枚数は平均2枚以上あったのでいいと思います」と語ります。

鈴木会長の話しを聞くと、今年の山田錦は質、量とも大いに期待できそうですが、「みなさんうまくつくったと思います。今年は去年のように猛暑が続くこともなかったので稲もストレスが溜まらなかった。今年の山田錦はいいですよ。あとは刈り取りのときの天候さえ良ければ大丈夫でしょう。きょう見た感じでは収量も去年より10%くらい増えるのではないでしょうか。反収は6俵超えると思います」と、鈴木会長は自信有り気に語ったのでした。

その後、会員の山田錦の圃場では例年並みの10月上旬にいっせいに刈り取りが行われました。

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