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活動レポート

静岡山田錦研究会レポート

この夏2回目の圃場巡回を行う。猛暑なく、稲は順調に生育。

看板が新しくなった鈴木会長の圃場

葉色板で葉の色を確認する

幼穂をチェックする鈴木会長

数値を記録し確認する

計測を見守る会員

生育状態を話し合う会員

静岡山田錦研究会の定例活動である今年2回目の圃場巡回が8月5日に行われました。この日は沖縄に近づいていた台風の影響のためか、朝から雨が降り出しましたが、巡回が始まる頃には雨も上がり曇り空。7月の巡回のような猛暑はなく、ここ数年ではもっとも過ごしやすい巡回日和となりました。

昼暑く、夜涼しい、絶好の環境

8月に行われる巡回は7月に行われた第1回目の巡回と同様、会員の圃場(田んぼ)を回り、稲の発育状態を調査するもので、今回も車を連ね、研究会の鈴木良紀会長をはじめ会員、JA関係者、そして、花の舞から事務局の斎藤副杜氏、土田杜氏、蔵人らが参加し、湖西市から浜松市、森町、磐田市、袋井市まで各地区の代表圃場を巡回しました。

この時期の巡回の目的は出穂(穂が出る)時期の予想と穂肥(穂のための肥料)をいつ、どのくらいの量行うかの判断をするためです。測定したのは1株茎数、草丈、葉色、CM値、幼穂長等です。

研究会の鈴木会長に昼食時に時間をつくってもらい午前中の感想を聞きました。まず、稲の葉の色と丈(背の高さ)について聞くと、「色は全体に少し濃かったですね。意識的に中干し(田んぼの水を切って乾燥させる)を弱くした人もいれば、天候の具合で中干しがあまり効かなかったこともあります。草丈はちょうどいいし、姿も締っています」。

去年の夏は猛暑続きでしたが、今年はそれほどの暑さはなく、雨も降っています。こういう天候は稲の生育にどうなのでしょう。「昼暑くて、夜涼しいというのは稲の生育には絶好ですね。これが、秋まで続いてくれるともっとうれしいのですが」と言います。さらに、「ずっと暑さが続けば秋落ちしてしまいますが、これからゆっくり気温が変化していけばいい米になるのではないでしょうか。今年の米の作況指数は去年よりいいような気がします。このままいけば例年並みの数字である100は超えると思います。山田錦もまだ穂が出ていないのでどうなるか分かりませんが、去年よりいいのではないでしょうか。あとは粒数をどれくらい確保できるかですね」と語ります。どうやら、今年は食米も酒米も出来はよさそうです。

出穂は9月上旬と予想

夏2回目であるこの巡回で重要なのは幼穂(ようすい)のチェックです。幼穂とはその名の通り、やがてりっぱな穂になる若い穂のこと。今はまだ地面から10?15cmほどの茎の中にあり、外側からは見ることができません。そこで、茎を縦に裂いてその断面で幼穂の長さを計ります。「去年は田んぼによって大小バラつきがありましたが、今年は出方が揃っています。だから、みんな同じ頃に穂が出るかもしれません。今の大きさは1ミリから2ミリくらい。例年に比べ少し遅いです」。それでは穂が出るのはズバリいつ頃なのか聞くと、「9月上旬頃でしょう。例年より少し遅いかもしれません」と鈴木会長は予想しました。

巡回した中で、穂を育てるための穂肥(ほごえ)を入れる必要のある人も何人かいました。鈴木会長は「8月10日から15日くらいまでには入れる。目安は幼穂の大きさが3センチメートルくらいになった時」と指導しました。一方、一発肥料(春に1回だけ入れるだけで通年効果がある肥料)を入れた会員の圃場については、「午前中巡回した湖西、浜松地区では一発肥料でやった人は穂肥を入れる必要はありません。そのままで、水管理すれば大丈夫です」と語りました。

山田錦の品質は良いと相談役も予想

昼食後の最初の巡回圃場は研究会相談役の乗松精二さんの圃場です。筆者は撮影準備のため本隊より少し早く昼食会場を出発し、圃場に着いたら乗松さんがすでに来て本隊を待っていました。せっかくですので乗松さんにも話しを聞くと、やはり、すぐに気温の話しが出ました。「6月下旬から7月上旬には36℃、37℃という高温がありましたが、7月中旬から今日まで最高でも33℃でした。昔の夏の気温に戻っていますね」。そうでした。乗松さんは毎日天気と気温を観測して記録しているのです。そして、「早稲系で7月中旬頃に穂が出たものは高温にあたっていますが、その後穂が出たのは最適期です。今年は7月最下旬から8月中に穂が出るものは最高にいいものが採れるかもしれない。山田錦も収穫量は分からないが品質的にはいいと思います」と、今年の米の出来を予想しました。

乗松さんの圃場の山田錦については「天候の影響で少し成長が遅いが、間違った管理をしなければこれから順調にいくのではないか」と言います。ところで、乗松さんは一発肥料でやっていたはず。穂肥は入れるのですかと聞くと、「稲の姿が枯渇しています。肥料をくれと言っていますから、一週間以内には穂肥を入れます」と語りました。

これからは病害虫に要注意

絶好の環境の中で山田錦は成長しているようですが、これから気をつけることを鈴木会長に聞くと、「台風の時の対応と病害虫」と言います。病害虫ではこれから秋ウンカが発生する可能性があるのだそうです。「今もたまにウンカを見ます。バラバラにやってくるので害はありませんが、秋ウンカとしてまとまってやってくると、稲の下から栄養を吸うので稲が枯れてしまうのです。ここ3年くらい被害が目立ちます」。対策は防除することに尽きるのですが、ちゃんと防除しても、その後発生することがあるのだそうです。「ここ数年の天候、気温など環境がそれまでと異なるからだと思いますが、防除と虫の発生時期がずれてしまうことがあるのです」ということで、もはや天候や、今までの経験、ノウハウだけでは分からないため、「絶えず田んぼを見ているしかない」と鈴木会長は言います。ここ数年の気象の変化がこんなところにも影響を及ぼしているのでした。

今年も巡回が終わった後に研究会恒例の親睦会が浜名湖畔のホテルで開催されました。蒸し暑い天候のもとでかいた汗を温泉で洗い流し、そして、その後は自分たちが栽培した山田錦でつくった花の舞のお酒で乾杯。さぞやその味は美味だったことでしょう。

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