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日本酒豆知識

その10 吟醸酒(5)

吟醸づくりの意義

4回にわたって吟醸酒についての説明をしてきましたが、吟醸酒は一言で言うと「特別な酒」だということでしょう。今回はつくり手から見た吟醸づくりについて土田杜氏に語ってもらい、吟醸酒について締めくくりたいと思います。

花の舞では大吟醸づくりはほとんどの工程が手作業です。その意味について土田杜氏は、「酒づくりの基本は手作業の吟醸づくりにあります。それを覚え、自分のものにすることによって、はじめて機械に置き換えてもいい部分と手作業でやった方がいいものとが見えてくるのです。機械でやった方が逆に品質が良くなることが分かれば機械にすればいい。しかし、機械に工程の一部を託すのであっても、手づくりをしてみないと、そのためのソフトがつくれませんからね」と言います。

手作業のこだわりを、麹づくりを例に語ってもらうと、「麹づくりは酒づくりの基本中の基本ですから、たとえ量が増えてもぜったい機械でやってはだめだということで、ずっと手づくりでやっています。地酒のつくり手として、地元の米を使って、麹を手づくりするというのが一番慈しんで酒づくりができる気がします。麹は手で触って、臭いをかぎ、ひっくり返したり、布をかけたりしてつくっていった方がいい。その後の酒づくりのイメージがつくれると思います」。

さらに、手づくりに関して、「どんなすばらしい機械でも五感はない。人間の手作業には五感、六感が活かされています。それが、酒づくりの難しさでもあり、おもしろさでもあるわけです。だから、大吟醸をつくるということは五感、六感を研ぎ澄ますたいへんいい勉強になるわけで、そのために吟醸づくりがあるのが基本だと思います」と、職人にとっての手づくりの意義も説きます。

 もちろんメンタルな面も見逃せません。「機械のボタンを押すだけでは気持ちがこもらない。手間暇かけてやると、悪い酒になるわけがないと思います。お客さんにどう評価されるかは分かりませんが、少なくとも自分ではやるだけのことはやったというようにしたい。人の技が介在している。だからこそ、私たちも自信を持ってうちの蔵の酒を飲んでくださいと言えるのです」。杜氏にとって吟醸づくりはまさに基本であり、酒づくりのすべてでもあるのです。

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