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花の舞だより

地域と共に

第20回 地域で盛り上げる「酒蔵開放」

この「地域とともに」ではこの夏数回にわたり、鉄道に関する話題を取り上げてきました。筆者も、地域の人にとっての鉄道、そして、駅の重要性を改めて認識した次第です。

現在、宮口地区の駅と言えば天浜線の宮口駅ですが、この宮口駅が乗降客で賑わう日があります。花の舞の酒蔵開放「新酒味見会」の日です。毎年10月下旬に開催されますが、この日は天浜線を利用して来場する人も多いのです。私もその様子を撮影したことがあります。普段は無人駅ですが、この日は特別に駅員さんがいて切符の販売をしていました。これから新酒味見会へ向かう人、少々顔を赤らめほろ酔いで駅に帰ってくる人、この日ばかりは駅周辺は賑やかです。

暑い暑いと言っていた日々は過ぎ、思えば季節はもう秋10月、10月と言えば新酒。そこで、今回は地域最大ともいえるイベント、花の舞の酒蔵開放「新酒味見会」における、宮口まちおこしの会の取り組みを紹介したいと思います。

最初は花の舞が独自で開催

まずは、花の舞の話しを聞こうと、まだ猛暑が残る8月下旬のある日、花の舞本社に川上常務を訪ねました。もう、酒蔵開放の準備は始まっているのでしょうかと聞くと、「はい、実行委員会の方とは打ち合わせをしています」という返事。毎年のこととはいえ、2か月前から着々と準備はされているのでした。

昭和63年(1988)頃から行われている行事だということは知っていたのですが、始まったいきさつを聞いてみると、「お客さんや地域の人など、日頃お世話になっている人に、何か楽しんでもらえることはないかと考えました。そして、その年最初に搾ったお酒を飲んでもらったらどうか、ということになって始めたわけです」。以来、この酒蔵開放は20年を超す花の舞の恒例行事となっています。

最初は花の舞が独自で開催していました。「新酒の他に、すっぽんスープ、田楽、甘酒などを用意しておもてなししていました」と川上常務。当初は前述したようにささやかに開催していたのですが、口コミなどで世の中に知られることとなり、来場者がだんだん増えていきました。そして、平成7年、初めて、宮口まちおこしの会がそこに出店したのです。川上常務は「お客さんが増えて酒以外のサービスの提供が難しくなっていたときに、まちおこしの会から出店の希望があったので、それじゃ、やってもらいましょうということになったのです」と言います。まちおこしの会では新酒を味わう来場者に「おつまみ」を提供しようと、おでんや焼き鳥など食べ物のお店を出しました。

まちおこしのために協力して開催し、人出も増えるそれ以降、まちおこしの会による出店は毎年続きました。やがて、商工会の青年部で組織する「あらたまクラブ」などの団体も徐々に参加するようになっていきました。そして、平成12年になると花の舞とまちおこしの会がより一層協力して開催されるようになります。まちおこしの会では「酒蔵開放」をまちおこしの目玉の一つとして活用したいという考えを持っていましたが、花の舞もこの活動に賛同、この年からお互いに協力して開催されることになったのです。

まちおこしの会では口・目・耳で楽しめるイベントにしようと、食べ物の出店を増やしたり、会場周辺に花の鉢植えを置いたりしました。さらに、地元浜北の飛竜太鼓の披露、虚無僧姿のグループの尺八演奏、チンドン屋の行進などが実施されました。それによって、ますます人出は増え、年々来場者の記録が更新されていきました。まさしく、地域を代表する一大イベントとなったのです。

まちおこしの会からは50人が参加

現在は酒蔵開放実行委員会と花の舞酒造の主催となっています。実行委員会は出店する団体・企業すべてによって構成され、宮口まちおこしの会が幹事を務めています。お酒のことは花の舞で。それ以外は実行委員会で、ということなのです。

さてそこで、もう一方の主役である宮口まちおこしの会会長の竹内茂さんにも話しを聞きました。この竹内さん、まちおこしの会の会長であり、実行委員会の役員でもあるのです。8月下旬、まちおこしの会の事務所をたずねました。「今年も近づいてきましたね」と言うと、「そうですね。実は近々会の中で打ち合わせをやることになっているんですよ」と言います。こちらでも着々と準備が進んでいました。

まちおこしの会では今年もおでん、焼き鳥、フランクフルトなど7つの店を出す予定です。「一つの売り場に6人ほど必要ですから、全部で50人くらいの会員が参加します。それでも、休む間がないくらいなんです」。数千人の来場者があると売り場は大忙しなのです。

食べ物を扱うので、一番気を使うのは衛生面だと言います。難しいのは食材の発注。「あらかじめ業者さんには量を伝えておきますが、本番3日前、天気予報をチェックして、最終の発注をしています」。今までの販売状況はどうだったのでしょうか。「全部売り切れています。ほんとうはもう少し多く仕入れてもいいのかもしれませんが、確実なところで発注しています。全部売り切ったという達成感も味わいたいですしね」。どうやら、屋台での販売は毎年好調のようです。

これをきっかけに、また宮口にきてほしい

まちおこしの会の販売活動もさることながら、酒蔵開放が開催されることの意義を竹内会長に聞くと、「遠くからも大勢のお客さんが来ますが、うれしいのは地元の人がたくさん来て、楽しんでいることです。最初の頃は知っている人も少なく、行く人もあまりいなかったですから」。そうでした。開催当初の目的は地域の人に楽しんでもらうことでした。やはり、まちおこしの会の会長さんならではの意見です。

酒蔵開放のメリットはまだあります。「まちおこしの会では地元を走る天浜線に乗ろうという活動を行っているので、天浜線に乗って来て、地元の玄関口である宮口駅を知ってもらえるのもうれしいことです」と竹内会長は言います。そして、続けて、「酒蔵開放は宮口を知ってもらえる絶好の機会。これをきっかけにして、また、宮口に来て、歩いてまちを見てもらいたいですね」と希望を語ります。

しかし、いいことばかりではないはず。開催するにあたって困っていることはないのでしょうか。「大勢の人に来てもらうのはうれしいのですが、酔った一部の人がマナーを守らず地域の人や家に迷惑をかけることが増えています。地元の人が地域を盛り上げるためにやっていることが、逆に地元の人に迷惑をかけるのはいちばんつらい。それが課題です」と言います。

当日はみんなでおそろいの宮口まちおこしの会の名前が入ったジャンパーを着て活動すると言います。「いろいろなところから来た人が、地元にまちおこしの会があって、元気にもてなしてくれたと思ってもらえればうれしいです」と竹内会長。今年の酒蔵開放「新酒味見会」の開催日は10月23日(日)。どうぞ、みなさんおこしください。そして、おそろいのジャンパーをみかけたら声をかけてください。まちおこしの会のメンバーは、きっと、とびっきりの笑顔で応えてくれることでしょう。

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